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校長による職員室「季節の風物詩展示」
第49回のテーマ「初午(はつうま)は稲荷神社のお祭り-新春の風物詩 その5-」
初午とは,2月のはじめの午の日に家内安全や商売繁盛を祈願して,
全国の稲荷神社でお祭りが行われる日です。
初午の日は,昔ながらの十二支で日にちを数えるので毎年変わります。
今年は2月10日,来年は2月5日になります。
石岡市内や旧八鄕町内も稲荷神社を信仰する稲荷講が盛んで,
稲荷神社に「正一位稲荷大明神」の幟(のぼり)を立て,
油揚げや赤飯などを供えたり,
シモツカリという独特の食べ物をワラヅトの中に入れてお堂に下げたりします。
柿岡小学校の敷地にも「丸の内稲荷神社」が鎮座しています。
氏子の方が,日頃から町内や学校をお守りしていただいている
感謝の気持ちから初午の日にお祭りをしています。
以前,石岡中央公民館のソファに何気なく座っていた地元の方から,
「おらが子どもの時分はよ,初午の日の夕方に,
お稲荷様のとこさ子どもらが集まっと,
交代でドンドコドンドコ太鼓をたたかせてくれたんだよ。
まわりの町内のお稲荷様からもドンドコドンドコ太鼓の音が聞こえてきて,
そりゃぁ賑やかなもんだったよ。
この時期はよ,火事になりやすいんで,
火の用心の意味も込めてたたかせてくれてたと思うよ。
そのあと,甘酒を飲ませてくれたり,
紙袋さ入った菓子をくれたりしたっけな。
いまじゃあ,こおたこと,とんとやんなくなっちったなぁ。」
という初午の話をうかがったことがありました。
また,初午の時に食べる料理は,みんなで分け合って食べる風習があることから,
初午行事は人々の生活に溶け込み,
にぎわいのある特別な日であったことがうかがえます。
これから代表的な初午料理を紹介します。
【いなり寿司】
稲荷神社に祀られているのは稲作・農業の神様で,「稲荷」には「稲がなる」という意味が込められています。稲荷神がもたらしたお米を,稲荷神の遣いとされるきつねの好物である油揚げに詰め,初午の日にお供えしたのが,いなり寿司のはじまりとされています。 ちなみに,いなり寿司の形は,東日本と西日本で違いがあります。東日本では,米俵に見立てた「俵型」のいなり寿司が主に作られます。西日本ではきつねの耳にいなり寿司を見立てた「三角型」が主に作られます。今では「おいなりさん」と呼び,おにぎりのような感覚で食べているいなり寿司ですが,もともとは初午のお祭りでお供えする神聖な食べ物だったのです。
【シモツカリ】
シモツカリは,栃木県を中心に北関東で食べられる郷土料理です。先日の給食にも出ました!(1/24給食説明参照)サケの頭や節分の時に残しておいた煎り大豆,「鬼おろし」でおろしたダイコンとニンジン,油揚げなどの材料を煮込み,酒粕をいれて作られています。
名前の由来は諸説あり,栃木県の下野(しもつけ)だけで作るからという説と,「酢」と「むつかり(大豆に酢をかけた料理)」からきたという説などがあります(八郷町は大豆に酢をかけた料理なのでスミツカリと言います)
【初午団子】
初午には「蚕(かいこ)」の神様を祀る行事も行われます。「初午団子」は「繭(まゆ)」がたくさんできるよう願い,繭の形をした団子を作って神様にお供えしたのが始まりとされています。「養蚕(ようさん)」が盛んな地域で作られ,現在も汁物やぜんざいに入れたり,焼いて醤油などで味付けをしたりと様々な食べ方をしています。